溺愛幼なじみは甘くて強引
「うん。これからもよろしく」


アリスが俺に手を伸ばす。俺は、その手に応えるよう、しっかりと握った。


その時のアリスの手は、小学生の頃に握った手とは、当たり前だけど違っていて……。女性らしい、華奢な手つきだった。

小学生の頃の記憶で止まっていたアリスと、今のアリスは違うのだと。俺は遅れて理解する。


「じゃあね、理央。また明日」

「送るよ」

「まーたそうやって優しくする!すぐそこだから、平気だよ」


言いながら、アリスは自分が住むマンションを指さす。

高いマンションの後ろに、真っ赤に燃える夕日。マンションの影が、俺たちの足元まで伸びていた。


その影から、先に飛び出たのは――アリス。
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