溺愛幼なじみは甘くて強引
「ッ!」


私の泣きそうな顔を見た理央が、ビクッと体を揺らす。

そして「ごめん」と謝り、すぐに私を起こした。


「ごめん、南月。俺……ごめん」

「ちが、悪いのは……私だよっ」


私の事を想った理央の気遣いを、無下にした挙句。誘って、拒絶した。

私は最低だ。

本当に、ひどい事をしちゃった。


「理央、ごめん。ごめんね……っ」


何も分かっていなかった。

私、本当に……何一つ、知らなかった。


好きな人が怖く見える瞬間があるって事を、今日。初めて知った。


「南月、おいで」

「え……あ、」


小さくなって謝る私を、理央は優しく抱きしめた。

何もせず、ただギュッと、私を落ち着かせるように。
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