溺愛幼なじみは甘くて強引
理央とあれやこれやするためには、経験値が必要なんだと思う。

つまり、慣れ。


男の子が苦手って訳じゃない。

クラスの男子とは普通に話すし、苦手意識もない。


だけど、いざ男女のそういう事を思い浮かべると……体が固まるというか。

不安とか恐怖の方が、どうしても勝ってしまう。


「はぁ、レベルアップしたい……」

「何の?」

「わあ!?」


ポツリと独り言を呟いた時。

いきなり、後ろから声をかけられる。

ビックリしすぎて、大げさなくらい体が跳ねてしまった。


「ごめん、驚かせたな」

「う、ううん!大丈夫だよ」


私が謝ると、その人――佐竹太陽くんは、ニカッと笑った。


佐竹くんは名前の通り太陽のように明るくて、いつもクラスの中心にいる人。

誰とでも話すし、誰にでも話し掛ける。


つまり――


悩みで浮かない顔をしている私にも「何か困りごと?」って聞いてくれるような。

佐竹くんは、そんな優しい人。
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