溺愛幼なじみは甘くて強引
4.唇にノック*理央*





大変なことになった。何が大変って……。

どうして、今もっとも近づいちゃいけない子が、


「理央~今日の晩ごはん、何にする?」

「ぐっ……」


俺しかいない俺の家で、寛いでいるんだろう。



*理央*



俺の両親も南月の両親も、昔から仲が良かった。でも、なにも旅行に行く日まで被るほど、仲が良くなくてもイイんじゃないの?


日にちが被ったせいで、お互いの子供をお互いの家に押し付け合った結果――

俺たちは二人きりになってしまった。


本来なら、のんびり寛ぐところだ。家に誰もいないなんて、悠々自適に過ごせて快適そのものだ。

けど、その時期は今じゃない。


むしろ「今だけ」は、やめてほしかった。


「生殺しはキツイなって、今日も一日耐えてたところなのに……」


まさか、一晩中耐えることになるなんて。
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