溺愛幼なじみは甘くて強引
「ありがとう、理央」


すると理央は「うん」と言って、自分の席へ戻っていく。

その姿を、何となく見ていた私。


その一方で、

「やっぱ溺愛されてんじゃん」と、真琴ちゃんが呆れた顔で笑っていた。


だけど――私は知らなかった。


おばさんに髪を切ってもらう時。

まさか、私が失恋しているなんて。



「理央、私……理央が好き!
付き合ってほしいの」

「ごめん南月。
俺、南月と付き合うのだけは無理なんだ」

「……ふへ?」



美容院に行く道すがら、勢いあまって告白してしまった私。


結果は、見事に惨敗。


振られたショックで潤んだ目のまま、美容院の椅子に座ることになる。


「ねぇ南月ちゃん、さっき泣いた?」

「泣いてないです……。それより!

短くバッサリ、カットしてください!」

「えぇ!?」


「失恋したから髪を切る」という定番行為を行うことになろうとは――


真琴ちゃんと話していた時の私は、一ミリも想像できなかったのだった。

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