溺愛幼なじみは甘くて強引
「あ、南月……」

「理央、こっち」

「え?」


私を見て、気まずそうにする理央。違うよ、理央。そんな顔をみたいんじゃないの、私は……いつもの優しい理央の笑顔が見たい――その一心で、理央の手を強く握った。


「え?ちょ、南月?」

「来て、理央」


そして、私たちは教室を後にする。


「え!南月ちゃん!?」

「いーから、太陽はこっち。そんで耳貸す」

「え……うん、うん――――え、えぇ!?」


残された太陽くんは、琴音ちゃんから私と理央の関係を聞く。

すると大きな声が出て、またもやクラス中の視線を集めてしまった。もう唐揚げが残っていない太陽くんは笑顔で誤魔化すしかなく……。


「あ、あはは……」


引きつった笑みで、皆に向かって謎に手を振るのだった。
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