溺愛幼なじみは甘くて強引

「え、いや……。そんなことは、」

「私ほど可愛い子が”有栖川ひとえ”なんて名前……合ってると思う？どう見ても外国人顔でしょ。だから皆にはアリスって呼んでもらってんの。この金髪は地毛じゃなくて、染めてるの」

「そ、そうなんだ……」


どうやら、可愛すぎるアリスちゃんにも、悩みの一つはあるらしい。こんな可愛い子にも年頃の悩みはあるんだ……と思うと、妙な親近感が湧いた。

だけど、二人が頼んだドリンクが来ると、アリスさんは慣れた手つきで飲む準備を始める。それは、とても私に真似できない動きだった。

まずポット風の小さなミルクピッチャーを、水面が跳ねない角度で傾ける。そして小さなトングで砂糖を掴み、二つ。ポトンと、静かに沈ませた。最後に可愛いティースプーンを持ち、滑らかな動きでかき混ぜる――

その一連の所作に、私はすっかり見入ってしまった。