溺愛幼なじみは甘くて強引
「!」


瞬間、アリスちゃんは目を開いて私を見た。

アリスちゃんの中では、やっぱり「大好きな人=理央」らしくて。「別に理央と離れるのは仕方ないっていうか」と、自然に理央の名前が出て来た。

その時に思ったこと。

アリスちゃんは、すごく素直な子じゃないかって。自分の気持ちを少しずつ、ライバルである私に話してくれるんだもん。そんなの絶対、いい子に決まってる。

そう思うと、もっとアリスちゃんの事を知りたくなった。だから、アリスちゃんから出てくる「理央の話」に、私は静かに耳を傾ける。


「理央はね、すごいんだよ。海外の生活が長くて英語で喋っちゃう私にも、何の躊躇もなしに近寄って来て……。理央がいたから、あの一年。日本での生活が本当に楽しかったの」

「そっか、理央はすごいね」

「そう、理央はすごいの。だから――

そんなスゴイ理央の彼女が、もしあなただったら許せない。今朝のあなたを見て思った。

あなたは、理央にふさわしくないって」


私から目を離さずに、アリスちゃんは言い切った。力強い語気だった。そんな彼女を見て、アリスちゃんが理央の事をどれだけ好きか――嫌でも分かる。
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