エリート同期は独占欲を隠さない


「うーん、美味しい!」

やっぱりこのメンツで飲むお酒が一番だ。だがふと、桐谷の方を見ると、彼は浮かない顔でビールをちびちびと飲んでいた。

(桐谷……?)

やはり来たくなかったのだろうか。行かなかったほうが後々面倒なことになると思い、無理しているのかもしれない。

最近の桐谷は、何を考えているのかさっぱりわからない。

「桐谷さ、彼女でもできた?」
「は? できてねーよ」
「じゃあどうして最近冷たいのよ」

酒の力もあり、顔を合わせた早々、本音が溢れる。しかもいつもだったら未尋の隣に座るくせに、明智を挟んだかたちになっていて、あからさまな態度にますます不満が募る。

「隣に座るのも嫌なんだね」
「いや、別にそんなんじゃないし」
「ハッキリ言えばいいじゃん。嫌いになったって」

身を乗り出しくってかかる。そんな未尋を、明智がまぁまぁと宥めるが、一度ついた火はなかなかおさまらない。

未尋は持っていたジョッキをテーブルにドンッと置いた。

「じゃあどういうこと? ちゃんと説明して」
「気のせいだろ。俺はいたって普通だ」
< 11 / 74 >

この作品をシェア

pagetop