エリート同期は独占欲を隠さない
「うーん、美味しい!」
やっぱりこのメンツで飲むお酒が一番だ。だがふと、桐谷の方を見ると、彼は浮かない顔でビールをちびちびと飲んでいた。
(桐谷……?)
やはり来たくなかったのだろうか。行かなかったほうが後々面倒なことになると思い、無理しているのかもしれない。
最近の桐谷は、何を考えているのかさっぱりわからない。
「桐谷さ、彼女でもできた?」
「は? できてねーよ」
「じゃあどうして最近冷たいのよ」
酒の力もあり、顔を合わせた早々、本音が溢れる。しかもいつもだったら未尋の隣に座るくせに、明智を挟んだかたちになっていて、あからさまな態度にますます不満が募る。
「隣に座るのも嫌なんだね」
「いや、別にそんなんじゃないし」
「ハッキリ言えばいいじゃん。嫌いになったって」
身を乗り出しくってかかる。そんな未尋を、明智がまぁまぁと宥めるが、一度ついた火はなかなかおさまらない。
未尋は持っていたジョッキをテーブルにドンッと置いた。
「じゃあどういうこと? ちゃんと説明して」
「気のせいだろ。俺はいたって普通だ」