エリート同期は独占欲を隠さない
でも今年は無理かもしれない。なにせ、嫌われてしまったようだから。
「やっぱり私、帰るね」
「は? どうしたんだよ急に」
「帰って明日の準備する」
残っていたビールを豪快に飲み干すと、財布からお札を抜き明智に手渡した。
「え、今お前、たいしてやることないって……」
「じゃ、また明日」
「あ、おい市ヶ谷!」
慌てる明智と、いまだ不愛想な桐谷を置いて、未尋は足早に出て行った。こうなったら、バカ桐谷のことなんて忘れて、飲んで食べて、思いっきり楽しんでやる!
あいつなんか、こっちから願い下げだ。
「桐谷のくそやろー! 禿ろーーっ! バカ桐谷ーー!!!」
夜の街に、未尋の残響がこだました。