エリート同期は独占欲を隠さない


触れられるとドキッとするし、未尋を自然と目で追っている自分がいるのは確か。

(――ただの同期が女に変わる瞬間なんて、実在するんだな)

だがこれまで女性を口説くということを、良くも悪くもする機会がなかった桐谷にとって、友達から女に転身した相手を振り向かせる方法を知らない。

とはいえ、いつまでも中学生のような態度をとっているわけにはいかないだろう。

◇◇◇

「さくっと告白すればいいじゃん」
「そんな簡単にできるわけねーだろ」
「営業成績ナンバーワンの男が、こういうときは不器用かよ」
「うるせ、お前には言われたくない」

昨日からこれの繰り返しで、桐谷のこじらせっぷりをつまみに、二人で遅くまで飲んだ。帰宅したのは朝方だったと思う。お陰で頭は痛いし、完全に寝不足だ。

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