エリート同期は独占欲を隠さない
今もし、自分の気持ちを打ち明けたらきっと驚くだろうし、拒絶される可能性は大きい。そうなればただの同期 に戻ることも難しくなるかもしれない。
(――って、完全に思考が中学生だな)
そんな自分に呆れながら、明智の後に続くように風呂に向かう。
旅館自慢の大浴場は広々としていて、一歩外に出ると絶景が待っていた。箱根の外輪山や仙石原高原の雄大な景観が見え、チェアやサンベッドに寝転びながら雄大な眺望を満喫できる造りになっている。
そこで早速大の字でくつろぐ明智を見つけ、思わず笑ってしまった。
「お、来たな桐谷」
「お前少しは隠せよ」
「いいだろ、男同士なんだからさ」
あっけらかんと言って、頭の後ろで腕を組んでいる。気分は南国のビーチといったところだろう。隣の露天風呂からは、女性のはしゃぐ声が聞こえた。
もしかすると、未尋がいるかもしれない。数日前から、温泉温泉と張り切っていたんだ。来てすぐ向かうのは自然だろう。そう思うと、無意識に耳がそっちに集中した。
「お前今変な想像してるだろ」
そんな桐谷を察し、明智がニヤニヤしながら突っ込む。
「してねーよ」