エリート同期は独占欲を隠さない
入社当初から二人はライバルで、常に営業成績を競ってきた。切磋琢磨し、ときには励ましあい、そうこうしながらこの五年、関係を構築してきた。
だがいつの間にか力の差をつけられ、未尋は今月も桐谷に負けてしまったのだ。
「来月も頼むよ、桐谷くん」
「はい」
自分と何が違うのだろうと、自問自答を繰り返しているうちに、課長が締めの言葉を綴り、恒例行事は終了した。
来月は絶対に桐谷に勝ってやると、席に着く彼を目で追いながら闘志を燃やす。
桐谷は見た目が爽やかで、頭の回転も速く、人を惹きつけるようなオーラがある。背もすらりと高く、手足の長いモデル体型。整った顔立ちで、艶のある黒髪は絹のような触り心地がしそうだといつも思っている。
普段クールだが、笑うと目尻にできる皺が可愛いと、女子社員やお客さまから専ら評判。
なおかつ、セールストークには嫌味がなく、彼に任せておけば心配ないと思わせる手腕を持ち合わせている。
だから彼を頼りに家を購入する人が多いのはうなずける。とはいえ未尋も、お客さまのために常に全力で一生懸命だ。