エリート同期は独占欲を隠さない


「お前は未練とかないの?」
「まさか。あるわけないじゃん」
「そっか。よかった。ほら、飲めよ」

トクトクといい音を立てながら、ビールがグラスいっぱいになる。

元カレとは近藤から無理やり連れて行かれた合コンで知り合ったのだが、結局何人も彼女がいたという話だ。

でもそれを知ったからといって、別にショックではなかった。要はまったく好きじゃなかったのだ。たった半年ほどの付き合いだったが、人生の汚点にすら感じる。

そんなことより、桐谷に避けられた方が、よっぽどショックだったことに、今さら気づく。

「あのさ、市ヶ谷。勘違いしてそうだから言うけど……お前のこと嫌いになったとか、そんなんじゃないから」
「え?」
「むしろ逆だ、逆」

たどたどしく言葉を紡ぐ額には、じんわりと汗が滲んでいるようにも見えた。

まさか緊張してる? あの桐谷が?しかも逆って、どういうこと?

「あの件から、お前をみる目が変わったっていうか……」
「どういうこと?」

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