エリート同期は独占欲を隠さない
首肯しながら桐谷を見れば、桐谷は恥ずかしそうに髪をかきむしっている。視線はうろうろと定まらない。
何をそんなに言いづらそうにしているのだ。いつもクールでばんばん契約をとってくる桐谷と、同一人物とは思えない。お客さんの前で、堂々と熱弁する桐谷はどこへ行った。
「その、つまりさ……」
桐谷は男らしい喉仏をごくりと上下させると、未尋の肩を掴んだ。今にも覆いかぶさってきそうな勢に、未尋は思わずのけ反る。
(――なっ、なに!?)
言いあぐねいている桐谷を、息をのんでみつめる。
心臓は桐谷に聞こえてしまうのではないかと思うほど、ドキドキと高鳴っている。
「あんな男と付き合ってたのかと思うとすげー腹が立ったし、それに、お前があんなに華奢だって思わなかった」
「な、なんの話よ!」
まさかあの一瞬で体のラインを知られてしまったとは思わず、途端に恥ずかしくなった未尋は慌てて顔をそむけた。しかも、今になってそんな感想……!
どんな嫌がらせだと思っていると、桐谷が意を決したように口を開いた。
「だから俺は、あの日からお前が……」