エリート同期は独占欲を隠さない
宴を終えると、各々部屋へと戻って行く。結局、桐谷はあのあともずっと隣にいて、手酌でぐいぐい飲んでいた。
もはややけ酒にも見えて、いったいどうしたのかと不思議で仕方なかった。あの続きは、聞けず仕舞いというわけだ。
「あ~あ、どっかにいい 男いないかな~」
「また始まった」
やや千鳥足になりながら、近藤と館内を歩く。フロアには近藤が求めているような若そうな男性陣はちらほらといるが、正直男はこりごり。あんな面倒くさい目にあうのは二度とごめんだ。
学生時代も人並みに付き合ったり別れたりしてきたが、よくよく考えたらどれも幼稚で友達の延長のような恋が多かった気がする。
最後はいつも「未尋とはやっぱ友達のほうがいいや」と言われてしまう。振られて何日も泣いたとか、食欲がなくなったということもない。
近藤のように、いかなるときも臨戦態勢を緩めない姿は尊敬するし、見習うべきなのだろうが、未尋はどうも女になりきれないのだ。
「あそこにいる人たちとかよくない? 誘おうよ」
「もういいから、ほら、二人で部屋で飲み直そう」
スナイパーのような目で物色する近藤の手を引いたところで「未尋?」と、誰かに声をかけられた。