エリート同期は独占欲を隠さない

足を止め振り返ると、二人組の男性が未尋を見下ろし立っていた。

一人は美容師っぽい風貌に、ひょろっとした細身。もう片方は、ガタイがよく、ラガーマンを連想させた。年齢は同じくらいに見える。

「未尋だよな? うわー懐かしい」
細身の男性のほうが、感激したように未尋に近づいてくる。どこかで見たことある気がするが、思い出せない。

お客さんだっただろうか? いや、違う。お客さんは未尋なんて馴れ馴れしく呼ばない。

「俺だよ俺。秋吉。中学のとき、同じクラスだったじゃん!」
「あ、思い出した! 秋吉くんだ! え? 何してるの? 旅行?」

懐かしくなってつい声が弾む。隣では近藤が「だれだれ?」と未尋の袖を嬉しそうに引っ張っている。

「中学の同級生で秋吉圭吾くん」

隣にいるのは、同僚の近藤だと説明すれば、近藤はか弱そうな笑みを浮かべ、恭しく頭を下げた。

その仕草に、男性陣の目の色が変わるのが分かった。近藤は雰囲気美人だ。口元のほくろが色っぽく、垂れた目元は男性の庇護欲を煽るらしい。本人も自覚していて、武器にしている。
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