エリート同期は独占欲を隠さない
だから蜘蛛の巣ばりに男がひっかかるのだが、付き合ってもなぜか長続きしない。
「懐かしいなー。何年ぶり? ていうか、よくわかったね」
「わかるよ。未尋全然変わんねーもん」
「ひどーいなにそれ。嬉しくないんだけど」
「嘘、嘘。綺麗になったよ。そうだ。俺ら二人で来てるんだけど、よかったら一緒に今から部屋で飲まない?」
意気揚々とした調子で誘われ、近藤と目を合わせる。近藤は最初から耳元で紹介しろと呪文のように唱えていたから、間違いなく行くと言うだろう。
でも、はいそうですね、とついて行くのはいかがなものか。いくら昔馴染みとはいえ、一応もう大人の男女なわけだ。ちょっと抵抗がある。
「いいじゃん市ヶ谷。どうせ暇なんだしさ~」
すると、のんびりした口調で近藤がしぶる未尋を説得し始めた。
「せっかくの再会ですもんね? 一緒に飲みたいですよね」
近藤が男性陣に援護しろとばかりに甘えた声を出す。それだけで二人は照れたように顔を真っ赤にさせていた。
小悪魔肉食女子とは恐ろしい……。
「近藤さんもこういっているわけだし、行こうぜ未尋。酒ならおごるからさ」