エリート同期は独占欲を隠さない
「えっ?」
桐谷の発言に、目を剥いて驚く。男の部屋に、のこのこついていくなって言ったのはどこの誰だ?
「どうする? 来る? 来ない?」
ぽかんとする未尋に、桐谷が焦れたように再び声をかける。桐谷の考えていることはさっぱりわからない。
けれど、誘われて嬉しく思っている自分がいるのは確か。未尋は少しの間の後「行く!」と返事をした。
「じゃあ、行くぞ。早く来い」
「はーい」
すたすたと前を歩く桐谷の後ろを、未尋は小さく跳ねながら着いて行った。
このとき、桐谷が胸の前で小さくガッツポーズをしていることに、未尋は気づく由もなかった。