エリート同期は独占欲を隠さない

それよりも先に、自分が未尋に想いを告げるのが先だろ、と突っ込まれそうだが、こうでも言わなければ、またさっきみたいなことが明日起こらないとも言い切れない。

我ながら必死すぎて、笑えてくる。当の本人は、まさか自分のことで、桐谷が葛藤しているとは思ってもいないようで、近藤に「よかったねー」と、呑気なことを言っている。

「市ヶ谷も、桐谷に紹介してもらえばいいじゃん」
「えーいいよ、別に」
「あいつとも終わったんだし、恋の傷は恋で癒さなきゃ」
「いやいや、別に傷ついてないし。それにしばらく男はいいかな」

その発言に、桐谷はぴくりとした。

(――男はしばらくいい?) 

「それに次は、ちゃんと結婚も考えられる人とじゃなきゃなーって」
「意外とリアリストね」
「意外とは失礼な」

二人の会話を前に、桐谷の顔色がみるみる曇っていく。未尋は楽観主義だが、何事にも真剣に取り組む。それは恋愛でもいえるかもしれない。

つまり、前回失敗しているから、次は慎重になるだろう。じゃあもしここで桐谷が想いを告げたら……? 

やはり振られる可能性の方が高いのでは? 

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