エリート同期は独占欲を隠さない
桐谷の頭の中に、まがまがしい予感が駆け巡る。そんな桐谷に、未尋が追い打ちをかけるような発言をした。
「そういえばさっき、宴会場で言いかけたのって、なんだったの?」
「はっ?」
「気になるんだけど」
テーブルに体重を預け、桐谷を真っ直ぐ見つめたまま、さっきとの続きを待ちわびている。
どうしてここでぶっこんでくるんだ。どんだけ鈍感なんだ!しかも明智も近藤も、興味津々といわんばかりに聞いている。
「近藤、明智聞いてよ。さっきこいつね、私に対して見る目が変わったとか、暴言吐いてきたんだよ。ひどくない?」
「何言ってんだよ、そうじゃない」
「どうせ、男を見る目が無さすぎとか、ここまでバカだとは思わなかったとか、言いたかったんでしょ?」
溜息をつきながら、こちらを見やる。目が少し潤んでいて、酔っているのがわかった。
「だいたい、冷たくなったと思ったら、今度はガミガミ口うるさくなるわ、怒るわ。ちょっと肩に触れただけで、すごい勢いで振り払うしさ」
「そんなことあったか?」
「あったよ」
「それは悪かった」