エリート同期は独占欲を隠さない
「ちょっとビックリしてるけど……うん、嬉しい」
桐谷の想いをどう受け取ったか、自分に問いかけたのだろう。その後も何度か頷いて、受け入れたように柔らかく微笑んでいた。
その様子があまりにも愛しくて、気づいたら向かいにいる未尋に手を伸ばしていた。そっと、頬を撫でる。
「熱いな」
「……だって、それは」
「すべすべで柔らかい。癖になりそう」
撫でながら目を細め微笑む。未尋もまた、恥ずかしそうにしながらも、それを受け入れていた。
「まずいなこれは……もっと触れたくなった」
ぐっとこらえる様に撫でていた手を引っ込めると「くそ、試練はこれからか」と、ぶつぶつと独り言のように呟いている。
すると、未尋が遠慮がちに言った。
「いいよって言ったら、どうする?」
「え?」
「もっと触っても、いいよ」
目元だけ上げ、いじらしく言葉を並べる未尋の姿に、胸をぎゅっと掴まれるような気持ちになった。
「どういう意味かわかってんの?」
「わかってる」
無自覚な未尋に煽られ、こらえきれなくなった桐谷は、未尋の後頭部を強引に引き寄せると、そっと唇を重ねた。