エリート同期は独占欲を隠さない
こんな切ない顔を向けられたら、抗えない。
桐谷も了承を得られたと思い、その場に未尋を押し倒すと、浴衣の帯に手をかけた。
背中にひんやりとした畳が触れ、火照った体には気持ちがよかった。
「未尋」
耳、頬、鎖骨と順に口付けていく。それだけでくすぐったくて、身をよじった。
「んっ……」
「可愛い」
上にのしかかる桐谷は見たこともない顔をしていて、見つめられるだけでぞくりとする。忘れかけていた感覚が呼び覚まされる。
――この男に抱かれたい……。
そう思い始める自分がいた。
しゅるっと帯を解かれると、左右に開かれ、じっとりとした視線を注がれた。中はブラとショーツだけで、裸も同然。
誰かに素肌を見せること自体、どのくらい振りか思い出せないくらい遠い記憶。元カレともそこまでの関係にならなかった。だから浮気されたのだろうが、体を許せる気持ちに、どうしてもなれなかったのだ。
「そんなにじろじろ見ないでよ」
ここまで執拗に見られると、視線だけで溶けてしまいそうで、耐えられず両手で体を隠した。
「どうして。こんなに綺麗なのに」