エリート同期は独占欲を隠さない

それなのに今回はこの態度。やっぱり最近の桐谷がおかしい。もしかして、彼女でもできたのだろうか。

「行けたら行くわ」
「うわ、なにそれ」
「そのまんまの意味だよ」

桐谷は曖昧な返事を残し、仕事にとりかかった。その態度に、未尋は不服そうな顔で桐谷を睨む。やっぱり気のせいなんかじゃない。あきらかに避けられている。

ここ一か月、桐谷は話しかけても上の空だったり、未尋に対して素っ気なかったりと明らかに態度がおかしい。

この前も、挨拶がてら軽く肩に触れただけなのに、ひどく驚かれ、触るなと言わんばかりに振り払われた。どうしたのかと聞いても教えてくれなくて、困っているのだ。

もしかすると自分が知らないうちに、桐谷を傷つけるようなことをしてしまったのかもしれない。

普段あまり悩まない楽観主義な未尋だが、今の唯一の悩み。結局話はまとまらないまま、未尋はもやもやした気持ちでパソコンに向かった 。
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