エリート同期は独占欲を隠さない
◇◇◇
「わぁ、あのお饅頭美味しそう! あのソフトクリームも食べたい!」
翌日。
旅館をあとにした未尋たちは、食べ歩きの名所でもある観光スポットへと来ていた。いつにもまして張り切る未尋の顔は、心なしか艶っぽく、それは温泉の効果だけではないように思えた。
それにくわえ、桐谷との間に漂う空気が明らかに昨日と違い、近藤と明智は白けた目で二人を見ていた。
「あの二人、浮かれすぎじゃない?」
「あぁ。俺らを放置して一時間以上も何してたんだが」
先を歩く二人を呆れたような顔で観察している。
あの後、未尋と桐谷は近藤と明智が待つ部屋に向かった。二人はずっとさしで飲んでいたらしく二人を見るなり「遅い!」と、怒鳴った。
そんな二人に未尋たちは正座をし、実は付き合うことになったと、報告したのだが、二人はたいして驚いていなかった。
むしろ「やっとか」と言われ、未尋と桐谷は驚いたように顔を見合わせたのだった。
「未尋、ロープウェイがあるって。あとで行ってみないか」
桐谷がパンフレットに目を落としたまま言うと、未尋はすぐさま反応した。
「行く行く!」
「じゃあ昼飯食ったら行くか」
「賛成!」
寄り添い合うように歩く二人を、他の社員も興味深そうに見ている。