エリート同期は独占欲を隠さない
エピローグ
それから時は過ぎ。冬の空は、夏の空へと様変わりしていた。
真っ青な空のキャンパスには入道雲が浮かび、蝉の鳴き声も聞こえる。足元には、蛙がぴょこぴょこと跳ねている。
そんな田舎道を、二人で肩を並べ歩いていた。
「緊張するな」
さっきからネクタイを何度も結び直す駿は、新調した真新しいスーツに、ピカピカに磨かれた靴を履いている。
髪はさっぱりと短くなり、どうやらこの日のために切ってきたようだった。ちょっと長めの髪型も好きだったが、短い髪も良く似合っている。
「大丈夫だよ。うちの親、そんな堅い人たちじゃないし」
「そうはいうけど、やっぱりな……」
らしくない駿に、未尋は思わずクスッと笑ってしまった。
今日は駿が未尋の両親に結婚の挨拶をする予定になっている。まさかこんなにも早く、駿を田舎の両親のところに連れてくるとは思いもしなかった。
付き合って半年の記念日の日、未尋は駿にプロポーズをされた。最初はすごく驚いたが、未尋が旅行のときに言っていた「次は結婚を考えられる人」という言葉をどうやら覚えていたらしい。
ちょっと高級なレストランへ連れて行かれ、シンプルだがすごく愛情のこもったプロポーズをしてくれた。