エリート同期は独占欲を隠さない

普段なんでも卒なくこなし、怖い物なんてないかのような駿だが、この時ばかりは緊張していたようで、ミネラルウォーターを何度も飲み干しては、おかわりを要求していた。

そんな駿に、最初は気づかなかったものの、あとから思い返せばあれは緊張の表れだったのだとわかり、心がほっこりと和んだのを覚えている。

自分のために緊張したり、有言実行してくれたりと、常に未尋のために行動してくれる駿のことが、日に日に好きになっていくのを、未尋は強く感じていた。

「ねぇ、駿。もし親がダメだって言ったらどうする?」
「は? 縁起でもないこと言うなよ」
「必死に説得してくれる?」
「もちろんだろ。俺は未尋と家族になりたいし、ずっとこれからも一緒に居たい」

きりっとした表情で言われ、未尋はふふっと笑みがこぼれた。

きっとこれから喧嘩もするだろうし、ぶつかることもあるだろう。

でも彼とだったらどんなことも乗り越えられる気がする。

ただの同期が恋人に変わり、そしてこれからは家族という形に変わっていく。

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