憧れのCEOは一途女子を愛でる
「なんでも言っていいんだろ? ていうか、ずっとアピールしてたけど気付かなかった?」
「……私って鈍いよね」
氷室くんは頼りになる同期で、社交的で、とても気さくな人柄だ。
それは誰に対しても等しく同じだと思っていた。なのに私にだけ特別な気持ちがあったとは……。
「俺と付き合ってほしいんだけど」
「氷室くん、ありがとう。でも……」
「うわぁ、その先は聞きたくないな。さすがにもうちょっと考えてよ」
私がどんな答えを出すのか、氷室くんは先読みできてしまったようだ。
それ以上言うなとばかりに両手を前に突き出してストップのジェスチャーをしている。
申し訳ない気持ちになって、いったん視線を足元に下げたものの、私は意を決して顔を上げた。
「氷室くんはやさしくていい人だよ。でも私は重い恋愛しかできない女で、めんどくさいの」
「それでもいいって言ったら?」
「ごめん。ダメなの。私の心の中には、ほかの人がいるから」
誠意を示したくて、きちんと彼の目を見て真剣に伝えた。
すると氷室くんは観念したように大きな溜め息を吐き、フフッと笑みをこぼす。
「謝らなくていいよ。フラれるだろうなってわかってた」
「氷室くん……」
「香椎は好きな男とうまくいけばいいな」
やっぱり氷室くんはやさしい人だ。最後まで嫌な言葉はひとつも口にせず、逆に私の幸せを願ってくれた。
そんな氷室くんがこの先の未来で、私よりもずっと素敵な女性と出会って幸せになれるように心から祈ろうと思う。
「……私って鈍いよね」
氷室くんは頼りになる同期で、社交的で、とても気さくな人柄だ。
それは誰に対しても等しく同じだと思っていた。なのに私にだけ特別な気持ちがあったとは……。
「俺と付き合ってほしいんだけど」
「氷室くん、ありがとう。でも……」
「うわぁ、その先は聞きたくないな。さすがにもうちょっと考えてよ」
私がどんな答えを出すのか、氷室くんは先読みできてしまったようだ。
それ以上言うなとばかりに両手を前に突き出してストップのジェスチャーをしている。
申し訳ない気持ちになって、いったん視線を足元に下げたものの、私は意を決して顔を上げた。
「氷室くんはやさしくていい人だよ。でも私は重い恋愛しかできない女で、めんどくさいの」
「それでもいいって言ったら?」
「ごめん。ダメなの。私の心の中には、ほかの人がいるから」
誠意を示したくて、きちんと彼の目を見て真剣に伝えた。
すると氷室くんは観念したように大きな溜め息を吐き、フフッと笑みをこぼす。
「謝らなくていいよ。フラれるだろうなってわかってた」
「氷室くん……」
「香椎は好きな男とうまくいけばいいな」
やっぱり氷室くんはやさしい人だ。最後まで嫌な言葉はひとつも口にせず、逆に私の幸せを願ってくれた。
そんな氷室くんがこの先の未来で、私よりもずっと素敵な女性と出会って幸せになれるように心から祈ろうと思う。