憧れのCEOは一途女子を愛でる
案内された部屋に行くと、ベッドに横たわって点滴を受けている病衣を着た祖父の姿が見えた。
すぐそばで辰巳さんが丸椅子に座って心配そうな顔で見守ってくれている。
「おじいちゃん……」
じわりと涙目になりながら遠巻きに声をかけると、辰巳さんが私に気付いてやさしく手招きをした。
自分が座っていた場所を私に譲り、もうひとつあった丸椅子を自分のほうへ引き寄せて辰巳さんが私の隣に座り直す。
「点滴の途中で眠くなったみたいだよ」
枕元まで顔を近付けて祖父の様子を確認したら、辰巳さんの言うようにスースーと寝息を立てて眠っていた。
不安でいっぱいだった心の中に、ほんの少しだけ安心する気持ちが湧いてきて、感情が混乱したせいか大粒の涙がぽろぽろとあふれてくる。
「辰巳さん……それ……」
辰巳さんが着ていたベージュの長袖シャツの袖口に、赤い血が点々と付着しているのが見えた。
「ああ、これか。倫さんの身体を支えたときに付いたんだ。冴実ちゃんを驚かせちゃったな。すまないね」
私は泣きながらブンブンと首を横に振った。祖父が吐血するのを目の前で見たのだから、辰巳さんだって驚いたはずだ。
突然倒れた祖父のそばでずっと付き添ってくれた辰巳さんには感謝しかないし、服を汚してしまって申し訳ない。
しょんぼりしていると、辰巳さんが私の頭をよしよしと撫でるものだから余計に涙が止まらなくなった。
「点滴が済んだら病室へ移るらしい。しばらくは入院になる。冴実ちゃんのお母さんは医者から話を聞いたあと、入院の準備のためにいったん家に戻ると言ってたよ」
どうやら母とは入れ違いになったようだ。
迅速に母が動けているのも辰巳さんがいてくれるおかげだと思うと、本当にありがたくて頭が下がる。
すぐそばで辰巳さんが丸椅子に座って心配そうな顔で見守ってくれている。
「おじいちゃん……」
じわりと涙目になりながら遠巻きに声をかけると、辰巳さんが私に気付いてやさしく手招きをした。
自分が座っていた場所を私に譲り、もうひとつあった丸椅子を自分のほうへ引き寄せて辰巳さんが私の隣に座り直す。
「点滴の途中で眠くなったみたいだよ」
枕元まで顔を近付けて祖父の様子を確認したら、辰巳さんの言うようにスースーと寝息を立てて眠っていた。
不安でいっぱいだった心の中に、ほんの少しだけ安心する気持ちが湧いてきて、感情が混乱したせいか大粒の涙がぽろぽろとあふれてくる。
「辰巳さん……それ……」
辰巳さんが着ていたベージュの長袖シャツの袖口に、赤い血が点々と付着しているのが見えた。
「ああ、これか。倫さんの身体を支えたときに付いたんだ。冴実ちゃんを驚かせちゃったな。すまないね」
私は泣きながらブンブンと首を横に振った。祖父が吐血するのを目の前で見たのだから、辰巳さんだって驚いたはずだ。
突然倒れた祖父のそばでずっと付き添ってくれた辰巳さんには感謝しかないし、服を汚してしまって申し訳ない。
しょんぼりしていると、辰巳さんが私の頭をよしよしと撫でるものだから余計に涙が止まらなくなった。
「点滴が済んだら病室へ移るらしい。しばらくは入院になる。冴実ちゃんのお母さんは医者から話を聞いたあと、入院の準備のためにいったん家に戻ると言ってたよ」
どうやら母とは入れ違いになったようだ。
迅速に母が動けているのも辰巳さんがいてくれるおかげだと思うと、本当にありがたくて頭が下がる。