憧れのCEOは一途女子を愛でる
「まったく怖くはないです。いつもにこにこしていてすごく温厚な方ですよ? うちの祖父のほうがよほど不愛想です」
「本当に? 俺には厳しいのに君にはやさしいんだな」
社長は盛大にあきれた顔をしているが、私には厳しい辰巳さんの姿は想像できなくて、どう反応していいかわからなかった。
「今日はじいさんと渓流釣りに行くはずだったんだけど、雨が降る予報を聞いて中止にしたんだ。そしたら碁を打ちに行くって言って……あっ」
「なんでしょう?」
「もしかして君もあそこに急に呼び出された?」
ピンと来たとばかりに社長は腕組みをしながら私に尋ねた。なにか点と点が線で結ばれたのかもしれない。
「私に傘を持ってくるように電話がありました」
「じいさんたちが企んだな。俺たちは自然に対面するように仕組まれた」
その事実に社長は今気が付いたようだ。
だけど私はその可能性が高いのではないかと、少し前に社長と同じ考えに至っていた。
辰巳さんが『冴実ちゃんがうちの孫と結婚してくれたらいいのになぁ』とお孫さんのことをアピールしてきたあとに『一度、実物を見てみてくれないか?』という発言があったからだ。
「じいさんは雨が降ることを知っていたのに、傘を忘れるなんて今思うと不自然だ」
「碁を打ちながら、私たちの話をしていたんでしょうね」
「本当に? 俺には厳しいのに君にはやさしいんだな」
社長は盛大にあきれた顔をしているが、私には厳しい辰巳さんの姿は想像できなくて、どう反応していいかわからなかった。
「今日はじいさんと渓流釣りに行くはずだったんだけど、雨が降る予報を聞いて中止にしたんだ。そしたら碁を打ちに行くって言って……あっ」
「なんでしょう?」
「もしかして君もあそこに急に呼び出された?」
ピンと来たとばかりに社長は腕組みをしながら私に尋ねた。なにか点と点が線で結ばれたのかもしれない。
「私に傘を持ってくるように電話がありました」
「じいさんたちが企んだな。俺たちは自然に対面するように仕組まれた」
その事実に社長は今気が付いたようだ。
だけど私はその可能性が高いのではないかと、少し前に社長と同じ考えに至っていた。
辰巳さんが『冴実ちゃんがうちの孫と結婚してくれたらいいのになぁ』とお孫さんのことをアピールしてきたあとに『一度、実物を見てみてくれないか?』という発言があったからだ。
「じいさんは雨が降ることを知っていたのに、傘を忘れるなんて今思うと不自然だ」
「碁を打ちながら、私たちの話をしていたんでしょうね」