憧れのCEOは一途女子を愛でる
伊地知部長の話を聞いていると入口の扉をノックする音が聞こえ、ふたりでそちらに視線を向けた。
ガチャリとドアが開き、センスの良いブランドのスリーピーススーツを着た背の高い男性がふたり、颯爽と入室する姿が目に飛び込んでくる。
その人物の顔をはっきりと認識した私は驚いて目を丸くするものの、即座に立ち上がり、腰を折って頭を下げた。
「香椎さん、お疲れ様」
キラキラと輝くような笑みをたたえ、五十嵐専務が先に私に声をかけた。
専務は健康的な小麦色の肌をしていて、笑うと爽やかに白い歯が覗く。
よく知らないけれど、趣味でなにかマリンスポーツをしているらしいと噂で聞いた。
専務と直接会話を交わすのはこれが初めてなので、緊張してピンと張った糸のように体が硬直していく。
「お疲れ様です」
「そんなに緊張しなくていいよ」
「すみません。おふたりがいらっしゃったので驚いてしまって……」
自分の声が若干震えていると気付いたけれど、どうすることもできない。
専務の斜め後ろには社長の姿が見え、ふたりは私たちがいる場所からテーブルを挟んだ対面の椅子に腰をかけた。私と伊地知部長も元の椅子に座り直す。
「お疲れ様。この前はどうも」
視線を下げていた私は社長の言葉にビックリしてパッと顔を上げた。
あの日のことは秘密にしようと約束したわけではなかったが、社長自身がほかの人たちの前で堂々と口にしたのは意外だった。
「この前って? なにがあったの?」
専務がニヤリと笑って問いかけたけれど、社長はなにもあわてることなく平然としている。
ガチャリとドアが開き、センスの良いブランドのスリーピーススーツを着た背の高い男性がふたり、颯爽と入室する姿が目に飛び込んでくる。
その人物の顔をはっきりと認識した私は驚いて目を丸くするものの、即座に立ち上がり、腰を折って頭を下げた。
「香椎さん、お疲れ様」
キラキラと輝くような笑みをたたえ、五十嵐専務が先に私に声をかけた。
専務は健康的な小麦色の肌をしていて、笑うと爽やかに白い歯が覗く。
よく知らないけれど、趣味でなにかマリンスポーツをしているらしいと噂で聞いた。
専務と直接会話を交わすのはこれが初めてなので、緊張してピンと張った糸のように体が硬直していく。
「お疲れ様です」
「そんなに緊張しなくていいよ」
「すみません。おふたりがいらっしゃったので驚いてしまって……」
自分の声が若干震えていると気付いたけれど、どうすることもできない。
専務の斜め後ろには社長の姿が見え、ふたりは私たちがいる場所からテーブルを挟んだ対面の椅子に腰をかけた。私と伊地知部長も元の椅子に座り直す。
「お疲れ様。この前はどうも」
視線を下げていた私は社長の言葉にビックリしてパッと顔を上げた。
あの日のことは秘密にしようと約束したわけではなかったが、社長自身がほかの人たちの前で堂々と口にしたのは意外だった。
「この前って? なにがあったの?」
専務がニヤリと笑って問いかけたけれど、社長はなにもあわてることなく平然としている。