憧れのCEOは一途女子を愛でる
「碁会所で会った。祖父同士が親しい囲碁仲間だったんだ」
「ああ……見合いばっかり勧めるあのおじいさんか。香椎さんのおじいさんと友達なの?」
専務の視線が自然とこちらに向いたので、私は愛想笑いをしながら小さくうなずいた。隣にいる伊地知部長も「へぇ」と驚きの声を上げている。
「ところで、伊地知さんが香椎さんを口説き落とすって息巻いていたけど。結果はどうなった?」
専務がテーブルに肘をつきながら、今にも吹き出しそうな顔をしてこちらを眺めている。
それを目にした伊地知部長は意地悪だと言わんばかりに、専務に冷ややかな視線を送った。
「今、口説いてる最中だったんです。ふたりとも来るのが早い」
伊地知部長はふたりに対して普段は敬語を使っているが、冗談を言われたときにはそれが一瞬消えることもあるので、先輩後輩の間柄に時折戻っているようで微笑ましい。
「まずは香椎さんが持ってる照明の資料を、社長と専務にも見てもらいたいんですけど」
伊地知部長の言葉を聞き、私はあわててパソコン画面を対面にいるふたりに向ける。すると社長が食い入るように覗き込んだ。
「ん?……ダクトレール?」
「はい。白のダクトレールを使えば店内が明るくなるかもと、以前部長と話していました」
ダクトレールとは別名ライティングレールとも言い、照明を取り付けることができるバー状の配線器具のことだ。
私が見せたのは白の特殊なダクトレールを二本使ってジグザグに設置された照明の画像だった。
空間に合わせてあとから細かく変更も可能だそうで、これなら多様な演出ができるのではと伊地知部長と以前に話をしていた。
「ああ……見合いばっかり勧めるあのおじいさんか。香椎さんのおじいさんと友達なの?」
専務の視線が自然とこちらに向いたので、私は愛想笑いをしながら小さくうなずいた。隣にいる伊地知部長も「へぇ」と驚きの声を上げている。
「ところで、伊地知さんが香椎さんを口説き落とすって息巻いていたけど。結果はどうなった?」
専務がテーブルに肘をつきながら、今にも吹き出しそうな顔をしてこちらを眺めている。
それを目にした伊地知部長は意地悪だと言わんばかりに、専務に冷ややかな視線を送った。
「今、口説いてる最中だったんです。ふたりとも来るのが早い」
伊地知部長はふたりに対して普段は敬語を使っているが、冗談を言われたときにはそれが一瞬消えることもあるので、先輩後輩の間柄に時折戻っているようで微笑ましい。
「まずは香椎さんが持ってる照明の資料を、社長と専務にも見てもらいたいんですけど」
伊地知部長の言葉を聞き、私はあわててパソコン画面を対面にいるふたりに向ける。すると社長が食い入るように覗き込んだ。
「ん?……ダクトレール?」
「はい。白のダクトレールを使えば店内が明るくなるかもと、以前部長と話していました」
ダクトレールとは別名ライティングレールとも言い、照明を取り付けることができるバー状の配線器具のことだ。
私が見せたのは白の特殊なダクトレールを二本使ってジグザグに設置された照明の画像だった。
空間に合わせてあとから細かく変更も可能だそうで、これなら多様な演出ができるのではと伊地知部長と以前に話をしていた。