憧れのCEOは一途女子を愛でる
「展示が無事でよかったです」
社長のたくましい腕から解放され、ホッと息をつきながら動いてしまったマネキンを元の位置に戻していると、フフッとあきれたような笑い声が聞こえてきた。
「俺はマネキンより君のほうが心配なんだけど」
せっかくの気遣いを無視したような感じになり、いたたまれなくなって社長に会釈を返した。
ダメだ。社長と一緒にいるだけでドキドキして調子が狂う。
「でもこれ、危ないですよね。お客様も足を引っかけそうです」
「ああ……たしかに」
「いっそ、展示台の上に乗せたほうがいいかもしれません。吉井店長に話してみます」
展示台の上にはボールなどのゴルフ用品が置かれているのだが、二十センチくらいの高さの台だからマネキンを乗せても問題なさそうだ。というより、逆に目立っていいかもしれない。
いいことを思いついたとばかりにウキウキと話す私を見て、社長は微笑みながら真剣に耳を傾けていた。
「そうだ、君の連絡先を聞いてなかったな」
社長が胸ポケットからスマホを出すのを見て、私もあわてて自分のスマホでメッセージアプリのIDを表示させた。
「じいさんが暴走してなにか言ってきたら、いつでも俺に連絡してきて」
再びドキンと心臓が跳ねる。
近づきすぎてはいけない人だと頭の中で警鐘が鳴る中、憧れてやまない存在の社長と連絡先を交換できて舞い上がる自分がいた。
社長のたくましい腕から解放され、ホッと息をつきながら動いてしまったマネキンを元の位置に戻していると、フフッとあきれたような笑い声が聞こえてきた。
「俺はマネキンより君のほうが心配なんだけど」
せっかくの気遣いを無視したような感じになり、いたたまれなくなって社長に会釈を返した。
ダメだ。社長と一緒にいるだけでドキドキして調子が狂う。
「でもこれ、危ないですよね。お客様も足を引っかけそうです」
「ああ……たしかに」
「いっそ、展示台の上に乗せたほうがいいかもしれません。吉井店長に話してみます」
展示台の上にはボールなどのゴルフ用品が置かれているのだが、二十センチくらいの高さの台だからマネキンを乗せても問題なさそうだ。というより、逆に目立っていいかもしれない。
いいことを思いついたとばかりにウキウキと話す私を見て、社長は微笑みながら真剣に耳を傾けていた。
「そうだ、君の連絡先を聞いてなかったな」
社長が胸ポケットからスマホを出すのを見て、私もあわてて自分のスマホでメッセージアプリのIDを表示させた。
「じいさんが暴走してなにか言ってきたら、いつでも俺に連絡してきて」
再びドキンと心臓が跳ねる。
近づきすぎてはいけない人だと頭の中で警鐘が鳴る中、憧れてやまない存在の社長と連絡先を交換できて舞い上がる自分がいた。