憧れのCEOは一途女子を愛でる
「冴実が来ると部屋が綺麗になるから助かるわ」

 まずは床のあちこちに落ちている衣類を拾い上げた。
 靴下はもちろん、部屋着やタオルなど、加那太はなんでもその場に放置する癖がある。
 ベッドの下に掃除機を滑り込ませたら、丸まった靴下がそのまま出てくることもあるくらいだ。

 彩羽からは世話をしすぎだとあきれられているけれど、恋人である私だけの特権のような気がしている。
 加那太はすべてオープンにしているから、これでは隠し事なんか絶対にできないし、私にとってはある意味安心材料なのだ。

 家事が一通り終わったところでふたりでお昼ご飯を食べ、そのあとはすっきりと片付いたリビングで加那太とゲームをした。
 夕方になると彼はソファーでうたた寝をしていたので、私はリクエストされていたオムライス作りを始める。

「やっぱり冴実のオムライスはうまいな」

 加那太用に作った特大のオムライスを眠りから覚めた彼はペロリと平らげて再びソファーで横になった。
 狭いキッチンで後片付けを終えた私が加那太のもとまで行き、今度はふたりで動画配信サイトで映画鑑賞をする。
 そうして時間が過ぎていき、この日のデートは終了した。

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