憧れのCEOは一途女子を愛でる
§4.会いたくなかった
***
本店の照明工事が終わるまで落ち着かないので、伊地知部長と私の歓迎会は延期にしてもらっていたのだけれど、週末の金曜である今夜それが行われることになった。
店舗運営部は部長を含めて十名おり、男性が六名、女性が四名で構成されている。部長と私のために今日は全員参加してくれるそうだ。
ちなみに幹事は氷室くんで、会社の近くにある大手チェーンの居酒屋の座敷席を予約してくれたらしいので、仕事を終えた私たちは全員でぞろぞろと歩いて向かった。
「乾杯~!」
それぞれ頼んだ飲み物が到着したところで、氷室くんが音頭を取ってグラスを合わせた。
私の左隣に座った伊地知部長が「労働のあとのビールはおいしいわね」と言いながら、いきなりジョッキの中身を半分くらい空けている。
実は彼女はなかなかの酒豪で、泥酔した姿を私は今まで見たことがない。
「部長、お疲れ様です。香椎、飲んでるか?」
しばらくすると氷室くんが私たちの正面に座って話しかけてきた。私とは同期なのに、彼がこんなに社交的で周りに目を配れるタイプだとは知らなかった。
「氷室くん、香椎さんはそんなにお酒が強くないから勧めすぎないでね」
私が自己申告する前に、部長が氷室くんに忠告してくれた。
氷室くんはそれを聞き、先手を打たれたとばかりに口をへの字に曲げておどけている。
「じゃあ、酒は控えめにして、たくさん食べろよ」
そう言うが早いか、氷室くんが唐揚げをふたつ私の取り皿に乗せる。
本店の照明工事が終わるまで落ち着かないので、伊地知部長と私の歓迎会は延期にしてもらっていたのだけれど、週末の金曜である今夜それが行われることになった。
店舗運営部は部長を含めて十名おり、男性が六名、女性が四名で構成されている。部長と私のために今日は全員参加してくれるそうだ。
ちなみに幹事は氷室くんで、会社の近くにある大手チェーンの居酒屋の座敷席を予約してくれたらしいので、仕事を終えた私たちは全員でぞろぞろと歩いて向かった。
「乾杯~!」
それぞれ頼んだ飲み物が到着したところで、氷室くんが音頭を取ってグラスを合わせた。
私の左隣に座った伊地知部長が「労働のあとのビールはおいしいわね」と言いながら、いきなりジョッキの中身を半分くらい空けている。
実は彼女はなかなかの酒豪で、泥酔した姿を私は今まで見たことがない。
「部長、お疲れ様です。香椎、飲んでるか?」
しばらくすると氷室くんが私たちの正面に座って話しかけてきた。私とは同期なのに、彼がこんなに社交的で周りに目を配れるタイプだとは知らなかった。
「氷室くん、香椎さんはそんなにお酒が強くないから勧めすぎないでね」
私が自己申告する前に、部長が氷室くんに忠告してくれた。
氷室くんはそれを聞き、先手を打たれたとばかりに口をへの字に曲げておどけている。
「じゃあ、酒は控えめにして、たくさん食べろよ」
そう言うが早いか、氷室くんが唐揚げをふたつ私の取り皿に乗せる。