憧れのCEOは一途女子を愛でる
§5.自然の中で深まる愛
***

 ゴルフウェアの展示の件は翌週末まで検討を重ねた。
 同じ部署の社員にも意見を聞きつつ伊地知部長と相談した結果、レインウェアの展示と場所を入れ替える方向で進めることになった。

「うん、これでいいと思う。香椎さん、お疲れ様」

「みなさんに助けていただいたおかげです」

 部長のデスクのそばでパソコン画面を覗き込み、ホッとしながら頭を下げた。何度も会議を重ねたので、これで今回の問題は解決できると思う。
 吉井店長には先に部長のほうから電話で話をしてくれるそうだ。

「よかったら今夜、ご飯に行くのに付き合ってくれない?」

「はい」

 部長がにっこりと微笑むのを見て、きっと私を励ますつもりなのだろうと想像がついた。
 彼女は以前から部下へのフォローを忘れない人だから。

 定時になり、デスクの上を片付けた私たちはふたりで会社を出た。
 訪れた場所は、会社の最寄り駅からほど近くにあるオシャレな和食ダイニングのお店だ。
 全席個室になっている空間は和モダンで雰囲気がよく、お刺身や旬野菜の天ぷらなどの料理が絶品で、部長が気に入っていて私も昔からよく連れてきてもらっている。

「乾杯しましょ」

「お疲れ様です」

 細くて背の高いピルスナーグラスに注がれたビールが届き、軽くグラスを合わせた。
 グラスを持つ部長の細くて長い指が美しいなと見惚れてしまう。

「遠慮なく食べてね」

「ありがとうございます」

 続けてすぐにお刺身の三種盛りが運ばれてきて、部長が「このイカがおいしいのよ」と勧めてくれた。

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