憧れのCEOは一途女子を愛でる
「悩んでるときに五十嵐くんに飲みに誘われたの」
「専務に……」
「そのときベロベロに酔って恋人の愚痴を言っちゃったのよ。私は都合のいいATMじゃないぞー、とか」
酒豪の部長が酔うなんて、どれだけの量のお酒を飲んだのか想像もつかない。そこまで精神的に追い詰められていたのだろうか。
「その発言がきっかけで、私がお金を渡してるって知った五十嵐くんが本気でキレちゃったのよ」
「え、本当ですか?」
専務はいつも快活なイメージだけれど、私は会社で見聞きする人柄しか知らないから、さすがにこれには驚いて目をむいた。専務が短気な性格だとは到底思えない。
「先輩なにやってるんですか! って怒られ、あきれられて……情けなかった。けどね、そこからが大変だったの」
「大変?」
「その日、五十嵐くんがマンションまで送ってくれたんだけど、お金を無心しに来た彼と玄関前で鉢合わせしちゃってね。五十嵐くん、彼の胸ぐらを掴んで放さなくて……」
部長の言葉通りだとすれば、修羅場になっているシーンしか思い浮かんでこない。
警察を呼ぶような事態になったのではないかと嫌な展開にまで考えが及んだ。
「今すぐ金を返せ、二度と彼女に近づくな、って凄みの効いた太い声で言ったら、彼は即座にうなずいて逃げ帰ったの。それから連絡が途絶えて音信不通」
「……うわぁ」
「私としては、好きだから別れないって彼が断言しなかったのがショックだった。それ以降待っていても連絡がないし、結局愛されてなかったんだって思い知って現実を受け入れたの」
「専務に……」
「そのときベロベロに酔って恋人の愚痴を言っちゃったのよ。私は都合のいいATMじゃないぞー、とか」
酒豪の部長が酔うなんて、どれだけの量のお酒を飲んだのか想像もつかない。そこまで精神的に追い詰められていたのだろうか。
「その発言がきっかけで、私がお金を渡してるって知った五十嵐くんが本気でキレちゃったのよ」
「え、本当ですか?」
専務はいつも快活なイメージだけれど、私は会社で見聞きする人柄しか知らないから、さすがにこれには驚いて目をむいた。専務が短気な性格だとは到底思えない。
「先輩なにやってるんですか! って怒られ、あきれられて……情けなかった。けどね、そこからが大変だったの」
「大変?」
「その日、五十嵐くんがマンションまで送ってくれたんだけど、お金を無心しに来た彼と玄関前で鉢合わせしちゃってね。五十嵐くん、彼の胸ぐらを掴んで放さなくて……」
部長の言葉通りだとすれば、修羅場になっているシーンしか思い浮かんでこない。
警察を呼ぶような事態になったのではないかと嫌な展開にまで考えが及んだ。
「今すぐ金を返せ、二度と彼女に近づくな、って凄みの効いた太い声で言ったら、彼は即座にうなずいて逃げ帰ったの。それから連絡が途絶えて音信不通」
「……うわぁ」
「私としては、好きだから別れないって彼が断言しなかったのがショックだった。それ以降待っていても連絡がないし、結局愛されてなかったんだって思い知って現実を受け入れたの」