それぞれの恋

式が終わって、みんながぞろぞろと外に出る。

これから、ガイダンスがあるらしい。

私は短大の校舎にむかって歩いた。

短大の校舎は敷地の奥にあるらしく、入り口の近くにある体育館からは少し遠かった。

プリントに書いてあった教室に辿り着くと、もう何人か座っていた。

どこに座ればいいのかな?

好きなとこに座ってもいいのかな?

私は入り口の前に突っ立って、キョロキョロしていた。


「どうしたの?」


突然、後ろから声をかけられた。

声をかけられた方を見ると、すごく大人っぽい人が立っていた。


「あっ…席がわからなくて…」


「ここに貼ってあるよ?」


大人っぽい人が黒板の横の掲示板にでかでかと貼られている座席表を指差して言った。


「ほんとだ…ありがとうございます!」


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