別れが訪れるその日まで

プロローグ

 手から放たれたボールが、バスケットゴールの縁に当たってはね返る。

 また失敗。何度やっても、私のシュートは入らない。
 もちろんたまには入る事もあるけど、失敗することの方がずっと多い。

 どうして皆できるのに、私だけできないんだろう。
 それが悔しくて練習してるけど、なかなか上達しない。

 嫌だなあ。もうやめようか。
 どうせいくらやっても上手くはならないし、できないままでも誰にも迷惑は掛からないもの。

 だけどそれでも私は、ボールを手放す気にはなれなかった。
 誰かにやれって言われたわけじゃない。けどここで諦めるのは、あまりに悔しい。
 だからゴールに向かって、シュートを放つ。

 でもボールは、またもゴールに弾かれて、地面に転がる。
 また失敗。だけど転がったボールを、誰かが拾った。

「僕も一緒に練習していいかな?」

 そう言ってきたのは、まるで天使みたいなかわいい顔をした男の子。
 すると続けてもうひとつ、足音が近づいてくる。

「二人ばっかりズルいー。あたしも入れてー」

 やって来たのは、まるで鏡に映したように、私とそっくりな女の子。
 こうして始まった3人での練習は、一人でやるよりもずっと楽しかった。


 あの頃の私達は、何をするにも3人一緒。
 それが永遠に続くんだって、信じて疑わなかった。
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