別れが訪れるその日まで
23 芹VS奈沙
そして、一から語り始める。
紫苑君が好きなのは、お姉ちゃんだって言われたこと。
そのせいで、プレゼントを渡せなかったこと。
そして嫉妬して、お姉ちゃんなんていなくなればいいって、思ってしまったこと。
私は、意地悪してきた石元さん達の事を悪く言えない。
だって私も、同じなんだもの。勝手に嫉妬して、勝手に恨んで。勝手に酷いことを思って。
前に誰かが、私と紫苑君じゃ釣り合わないって言ってたけど、その通り。
心が真っ黒に汚れている私は、誰かを好きになる資格なんて無いし、誰からも好かれちゃいけないんだ。
こんな私を、お姉ちゃんはどう思うだろう。
今まで溜め込んできたものを吐き出す間、お姉ちゃんは黙って聞いていたけど、全部出しきった後、静かに口を開いた。
『何さそれ……』
声を震わせながら、ジッと私を見る。
『あんた今まで、ずっとその事黙ってたの? 紫苑君を振ったのも、それが理由?』
責めるような言葉を浴びせられて、ビクッと体を震わせる。
だけど怒って当たり前。嫌われて当然。
私はそれだけのことをした、酷い妹なんだから……。
『この……大バカーっ!』
「きゃっ!?」
叫んだかと思うと突き飛ばされるような衝撃があって、ドンと床に倒れる。
痛たた……。あれ、私今、お姉ちゃんに突き飛ばされた?
お姉ちゃんは物に触れないはずなのに。もしかしてポルターガイストを起こしたの?
「ニャー!?」
倒れた私を見て、ボタが心配したようにトコトコやって来る。
だけどそれよりも早く、お姉ちゃんが馬乗りになってきた。
そして──
『そんなどうでもいいこと、なに何年も気にしてるの! このアホー!』
「なっ!?」
どうでもいい? いや、よくはないでしょ。
「私がどれだけ酷い妹か、分かったでしょ。お姉ちゃんの事故のことだって、私があんなことを思わなけえれば……」
『だからそれがおかしいって言ってるの! あんたが願ったからって、ホイホイ死んでたまるか! あたしが死んだのは、ただの偶然! なのに勝手に悩んで、オマケに紫苑君まで振るなんて。このバカ! バカ、バカ、大バカー!』
私が喋るのを遮って、お姉ちゃんが被せてくる。
確かに私が思ったことと、あの事故とは何の関係もない。けど、タイミングが悪すぎた。
願った直後にお姉ちゃんは死んだんだもの。関係ないって分かっていても、切り離して考えるなんてできない。
だけど。
『だいたい、どうして自分だけが悪者になろうとするのさ! あたしだって芹がいなくなっちゃえばいいって思ったこと、何十回もあるわ!』
「なっ!?」
今度は私が、声を上げる番。
何で!? 私、何か恨まれるようなことしてた?
『芹がいたせいでさ、あたしはお姉ちゃんなんだから我慢しなさいとか、お姉ちゃんなんだからしっかりしなさいとか、耳タコになるくらい言われてきたんだもの。数分しか違わないのに、何がお姉ちゃんだ。芹がいなかったら、こんな窮屈なこと言われずにすんだのにって、何度思ったことか!』
「へ? そ、そんなこと!?」
恨むにしてはあまりにちっぽけな理由に、ポカンと口を開ける。
けど、お姉ちゃんはまだ止まらない。
『まだあるよ! 皆いっつも芹の事ばかり応援するのが嫌だった。逆上がりの練習してた時も、泳ぎの練習をした時も、あたしよりも皆芹の方を応援していた! 私の方ができるのにどうして皆、できない芹のことばっかりって思って、いつも嫌だったんだから!』
「そ、そんなこと言われても」
私が応援されていたのは、お姉ちゃんよりできなかったから。それは私にとっても、コンプレックスだったのに。
「皆に構ってもらえるのはいっつも芹。一人っ子なら皆構ってくれたかもしれないのに、芹ばっかりズルいって、何度も思ったよ!」
「──っ!」
ショックだった。まさかお姉ちゃんに、こんな風に思われていたなんて。
だけど悲しさ以上に、怒りが込み上げてくる。
確かにお姉ちゃんの言うことも、分からないわけじゃない。お姉ちゃんはできるんだから、早く芹も追いつけって、大人は皆応援してくれてたもの。
だけど、だけどさあ。
「何が……何が構ってもらえてズルいだよ。頑張れって言われるのが、どれだけ嫌だったかも知らないで!」
仰向けになっていた体を起こして、お姉ちゃんに向かって吠える。
お姉ちゃんが羨ましいって言っているそれは、私にとって苦痛でしかなかった。
お姉ちゃんはできるのに、どうしてできないの。もっと頑張らなきゃダメでしょって、って言われているみたいで。応援されるのが苦痛だった。
できておめでとうって言われた時だって、お姉ちゃんの方が先にできてたって思って、素直に喜べなかったのに。
そんなの理不尽だよ!
「できるのが当たり前だから構ってもらえないって、そんなの贅沢な悩みじゃない! お姉ちゃんと比べられて、惨めな思いをしてきた私の気持ちがわかる!?」
事ある毎にお姉ちゃんと比べられるのが、ずっと嫌だった。
お姉ちゃんはいつも、私が欲しいと思ったものを先に手に入れていて、私はいつも後追い。それがどれだけむなしかったか。
こんなことなら、一人っ子の方がよかった。そう思った事なら、私だって何回もある。
比べてしまう、比べられてしまう相手が、すぐ近くにいる。それはきっと、双子にとって最大のデメリット。
ずっと仲良しだって言われてきた私達だけど、双子であることは、決して良いことばかりじゃないんだ。
「それにさっき、構ってもらえてズルいなんて言ったけどさあ。私に言わせればお姉ちゃんの方が、ずっと構ってもらってるよ! だって友達から遊びに誘われるのは、いつもお姉ちゃんだったじゃない!」
皆何かと言うと、奈沙、奈沙、奈沙!
引っ込み思案の私と違って、社交的なお姉ちゃんは、いつも輪の中心にいた。
私だけ仲間外れにされることはなかったけど、何だかお姉ちゃんのオマケみたいに思えて、それがずっと嫌だった。
「ママだってお手伝いを頼む時、いつも決まってお姉ちゃんばっかり頼ってたじゃない!」
お姉ちゃんばっかり頼るもんだから、私じゃ頼りにならないって言われている気がして、嫌だった。
気にしすぎって言われたらそれまでだけど、何度も積み重ねられると、悪い方向に考えちゃうんだ。
けど。
「そのせいで、あたしばっかりお手伝いさせられてたでしょーが!」
私には私の言い分があるように、お姉ちゃんにはお姉ちゃんの言い分があった。
そして、ここまでくるともう収集がつかない。
姉妹がいたせいで怒る嫌なことなんて、探せば山ほどある。私達はその嫌だった事を、思いつく限りぶつけていった。
「テストの点を比べられるのも嫌だった!」
『皆やたらと、お揃いの服を着せたがるのが嫌だった! 芹がいたせいで、あたしだけのオシャレができなかったじゃん!』
「クリスマスプレゼントに買ってもらったゲーム、お姉ちゃんばっかり遊んでて私はあんまり遊べなかった!」
『やられたら交代ってルールだったでしょ。すぐにやられちゃう芹が悪いの! こんなのもあるよ。一年生の時パパが遊園地に連れて行ってくれるって言った時、芹が動物園が良いって言ったから行けなかったじゃん!』
「あれはじゃんけんをして、私が勝ったんじゃない。今さら文句言わないでよ!」
『あの時芹、遅出ししてた!』
「してない!」
「ニャ、ニャ~」
最初の冷たい空気はどこへやら。
白熱する姉妹ケンカに、ボタもオロオロしながら私とお姉ちゃんを交互に見てる。
『頭に来た! ボタ、体借りるよ!』
「ニャニャッ!?」
次の瞬間、お姉ちゃんはボタの体に入り込む。
ボタに憑依したんだ。
『恨みや妬みなら、あたしの方が山ほどあるっての!』
「痛っ!」
ボタの体を借りて、お姉ちゃんはネコパンチを繰り出してきた。
実際にはそこまで痛くはないけど、肉球によるパンチを、ポコポコぶつけられる。
忘れてるかもしれないけど、私怪我人なんだけど!
怪我してる妹を容赦なく殴るなんて、酷いお姉ちゃん。だったら、私だって反撃して……。
「あーっ、ズルい! ボタの体じゃ、やり返せないじゃない! ヒキョウだよ!」
『うるさーい! ケンカにズルいもヒキョウもなーい!』
反撃できないのを良いことに、お姉ちゃんは一方的にネコパンチをしてくる。
そしてしばらくポコポコ叩いていたと思ったら、今度は少し後ろに下がって、加速をつけて突進してきた。
『一人で加害者面するんじゃなーい!』
「あうっ!」
飛び上がって、体を丸めての体当たりが、私の顔にクリーンヒット。
やっぱりそんなに痛くはないけど、はずみで再び仰向けに倒れる。
だけどボタinお姉ちゃんも疲れたのか、両手両足を広げた、ヘソ天の格好で倒れた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
『はぁっ、はぁっ、はぁっ……』
そう広くない部屋の中で、よくもまあここまで暴れたものだ。
そろって体力を使い果たして、二人とも息絶え絶えだ。
『はぁっ、はぁっ……身体測定の時、いつも芹の方がちょっとだけ体重軽かったのもムカついてたー』
「はぁっ、はぁっ……そ、それはお姉ちゃんが、食いしん坊なだけー」
ご飯もおやつも、私より食べてたんだから当たり前。そんな所まで責任持てないよ。
こんな小さなことでズルいとかいなければよかったとか、酷いお姉ちゃん。
だけど小さい頃から感じていた不満を全部ぶつけた事で、変にスッキリしている自分がいた。
紫苑君が好きなのは、お姉ちゃんだって言われたこと。
そのせいで、プレゼントを渡せなかったこと。
そして嫉妬して、お姉ちゃんなんていなくなればいいって、思ってしまったこと。
私は、意地悪してきた石元さん達の事を悪く言えない。
だって私も、同じなんだもの。勝手に嫉妬して、勝手に恨んで。勝手に酷いことを思って。
前に誰かが、私と紫苑君じゃ釣り合わないって言ってたけど、その通り。
心が真っ黒に汚れている私は、誰かを好きになる資格なんて無いし、誰からも好かれちゃいけないんだ。
こんな私を、お姉ちゃんはどう思うだろう。
今まで溜め込んできたものを吐き出す間、お姉ちゃんは黙って聞いていたけど、全部出しきった後、静かに口を開いた。
『何さそれ……』
声を震わせながら、ジッと私を見る。
『あんた今まで、ずっとその事黙ってたの? 紫苑君を振ったのも、それが理由?』
責めるような言葉を浴びせられて、ビクッと体を震わせる。
だけど怒って当たり前。嫌われて当然。
私はそれだけのことをした、酷い妹なんだから……。
『この……大バカーっ!』
「きゃっ!?」
叫んだかと思うと突き飛ばされるような衝撃があって、ドンと床に倒れる。
痛たた……。あれ、私今、お姉ちゃんに突き飛ばされた?
お姉ちゃんは物に触れないはずなのに。もしかしてポルターガイストを起こしたの?
「ニャー!?」
倒れた私を見て、ボタが心配したようにトコトコやって来る。
だけどそれよりも早く、お姉ちゃんが馬乗りになってきた。
そして──
『そんなどうでもいいこと、なに何年も気にしてるの! このアホー!』
「なっ!?」
どうでもいい? いや、よくはないでしょ。
「私がどれだけ酷い妹か、分かったでしょ。お姉ちゃんの事故のことだって、私があんなことを思わなけえれば……」
『だからそれがおかしいって言ってるの! あんたが願ったからって、ホイホイ死んでたまるか! あたしが死んだのは、ただの偶然! なのに勝手に悩んで、オマケに紫苑君まで振るなんて。このバカ! バカ、バカ、大バカー!』
私が喋るのを遮って、お姉ちゃんが被せてくる。
確かに私が思ったことと、あの事故とは何の関係もない。けど、タイミングが悪すぎた。
願った直後にお姉ちゃんは死んだんだもの。関係ないって分かっていても、切り離して考えるなんてできない。
だけど。
『だいたい、どうして自分だけが悪者になろうとするのさ! あたしだって芹がいなくなっちゃえばいいって思ったこと、何十回もあるわ!』
「なっ!?」
今度は私が、声を上げる番。
何で!? 私、何か恨まれるようなことしてた?
『芹がいたせいでさ、あたしはお姉ちゃんなんだから我慢しなさいとか、お姉ちゃんなんだからしっかりしなさいとか、耳タコになるくらい言われてきたんだもの。数分しか違わないのに、何がお姉ちゃんだ。芹がいなかったら、こんな窮屈なこと言われずにすんだのにって、何度思ったことか!』
「へ? そ、そんなこと!?」
恨むにしてはあまりにちっぽけな理由に、ポカンと口を開ける。
けど、お姉ちゃんはまだ止まらない。
『まだあるよ! 皆いっつも芹の事ばかり応援するのが嫌だった。逆上がりの練習してた時も、泳ぎの練習をした時も、あたしよりも皆芹の方を応援していた! 私の方ができるのにどうして皆、できない芹のことばっかりって思って、いつも嫌だったんだから!』
「そ、そんなこと言われても」
私が応援されていたのは、お姉ちゃんよりできなかったから。それは私にとっても、コンプレックスだったのに。
「皆に構ってもらえるのはいっつも芹。一人っ子なら皆構ってくれたかもしれないのに、芹ばっかりズルいって、何度も思ったよ!」
「──っ!」
ショックだった。まさかお姉ちゃんに、こんな風に思われていたなんて。
だけど悲しさ以上に、怒りが込み上げてくる。
確かにお姉ちゃんの言うことも、分からないわけじゃない。お姉ちゃんはできるんだから、早く芹も追いつけって、大人は皆応援してくれてたもの。
だけど、だけどさあ。
「何が……何が構ってもらえてズルいだよ。頑張れって言われるのが、どれだけ嫌だったかも知らないで!」
仰向けになっていた体を起こして、お姉ちゃんに向かって吠える。
お姉ちゃんが羨ましいって言っているそれは、私にとって苦痛でしかなかった。
お姉ちゃんはできるのに、どうしてできないの。もっと頑張らなきゃダメでしょって、って言われているみたいで。応援されるのが苦痛だった。
できておめでとうって言われた時だって、お姉ちゃんの方が先にできてたって思って、素直に喜べなかったのに。
そんなの理不尽だよ!
「できるのが当たり前だから構ってもらえないって、そんなの贅沢な悩みじゃない! お姉ちゃんと比べられて、惨めな思いをしてきた私の気持ちがわかる!?」
事ある毎にお姉ちゃんと比べられるのが、ずっと嫌だった。
お姉ちゃんはいつも、私が欲しいと思ったものを先に手に入れていて、私はいつも後追い。それがどれだけむなしかったか。
こんなことなら、一人っ子の方がよかった。そう思った事なら、私だって何回もある。
比べてしまう、比べられてしまう相手が、すぐ近くにいる。それはきっと、双子にとって最大のデメリット。
ずっと仲良しだって言われてきた私達だけど、双子であることは、決して良いことばかりじゃないんだ。
「それにさっき、構ってもらえてズルいなんて言ったけどさあ。私に言わせればお姉ちゃんの方が、ずっと構ってもらってるよ! だって友達から遊びに誘われるのは、いつもお姉ちゃんだったじゃない!」
皆何かと言うと、奈沙、奈沙、奈沙!
引っ込み思案の私と違って、社交的なお姉ちゃんは、いつも輪の中心にいた。
私だけ仲間外れにされることはなかったけど、何だかお姉ちゃんのオマケみたいに思えて、それがずっと嫌だった。
「ママだってお手伝いを頼む時、いつも決まってお姉ちゃんばっかり頼ってたじゃない!」
お姉ちゃんばっかり頼るもんだから、私じゃ頼りにならないって言われている気がして、嫌だった。
気にしすぎって言われたらそれまでだけど、何度も積み重ねられると、悪い方向に考えちゃうんだ。
けど。
「そのせいで、あたしばっかりお手伝いさせられてたでしょーが!」
私には私の言い分があるように、お姉ちゃんにはお姉ちゃんの言い分があった。
そして、ここまでくるともう収集がつかない。
姉妹がいたせいで怒る嫌なことなんて、探せば山ほどある。私達はその嫌だった事を、思いつく限りぶつけていった。
「テストの点を比べられるのも嫌だった!」
『皆やたらと、お揃いの服を着せたがるのが嫌だった! 芹がいたせいで、あたしだけのオシャレができなかったじゃん!』
「クリスマスプレゼントに買ってもらったゲーム、お姉ちゃんばっかり遊んでて私はあんまり遊べなかった!」
『やられたら交代ってルールだったでしょ。すぐにやられちゃう芹が悪いの! こんなのもあるよ。一年生の時パパが遊園地に連れて行ってくれるって言った時、芹が動物園が良いって言ったから行けなかったじゃん!』
「あれはじゃんけんをして、私が勝ったんじゃない。今さら文句言わないでよ!」
『あの時芹、遅出ししてた!』
「してない!」
「ニャ、ニャ~」
最初の冷たい空気はどこへやら。
白熱する姉妹ケンカに、ボタもオロオロしながら私とお姉ちゃんを交互に見てる。
『頭に来た! ボタ、体借りるよ!』
「ニャニャッ!?」
次の瞬間、お姉ちゃんはボタの体に入り込む。
ボタに憑依したんだ。
『恨みや妬みなら、あたしの方が山ほどあるっての!』
「痛っ!」
ボタの体を借りて、お姉ちゃんはネコパンチを繰り出してきた。
実際にはそこまで痛くはないけど、肉球によるパンチを、ポコポコぶつけられる。
忘れてるかもしれないけど、私怪我人なんだけど!
怪我してる妹を容赦なく殴るなんて、酷いお姉ちゃん。だったら、私だって反撃して……。
「あーっ、ズルい! ボタの体じゃ、やり返せないじゃない! ヒキョウだよ!」
『うるさーい! ケンカにズルいもヒキョウもなーい!』
反撃できないのを良いことに、お姉ちゃんは一方的にネコパンチをしてくる。
そしてしばらくポコポコ叩いていたと思ったら、今度は少し後ろに下がって、加速をつけて突進してきた。
『一人で加害者面するんじゃなーい!』
「あうっ!」
飛び上がって、体を丸めての体当たりが、私の顔にクリーンヒット。
やっぱりそんなに痛くはないけど、はずみで再び仰向けに倒れる。
だけどボタinお姉ちゃんも疲れたのか、両手両足を広げた、ヘソ天の格好で倒れた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
『はぁっ、はぁっ、はぁっ……』
そう広くない部屋の中で、よくもまあここまで暴れたものだ。
そろって体力を使い果たして、二人とも息絶え絶えだ。
『はぁっ、はぁっ……身体測定の時、いつも芹の方がちょっとだけ体重軽かったのもムカついてたー』
「はぁっ、はぁっ……そ、それはお姉ちゃんが、食いしん坊なだけー」
ご飯もおやつも、私より食べてたんだから当たり前。そんな所まで責任持てないよ。
こんな小さなことでズルいとかいなければよかったとか、酷いお姉ちゃん。
だけど小さい頃から感じていた不満を全部ぶつけた事で、変にスッキリしている自分がいた。