Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜
五十回目の告白
一年前、とある病院の診察室ではどこか緊張したような表情を浮かべる女性がいた。そんな女性に対し、目の前に座っていた医師が彼女のカルテを開く。そこには、女性が受けた検査の結果があった。
「乳がんのステージゼロです」
その言葉に、女性の目から涙が零れ落ちた。
本田凌(ほんだりょう)という名前で潜入捜査をしていた公安警察・九条桜士(くじょうおうし)は緊張を覚えながら待ち合わせ場所である駅前にいた。
(今日で二人きりで会うのは五十回目か……)
桜士の頭の中に今日、二人きりで出かける相手の顔が浮かぶ。ウェーブがかり毛先だけがピンクに染められた長い黒髪に、少しだけ垂れた目、程よく日焼けした肌に可愛らしい笑顔。四月一日一花(わたぬきいちか)の顔を浮かべただけで、桜士の胸は酷く締め付けられてしまう。桜士は一花に対し、「恋わずらい」という治らない病を抱えているのだ。
巨大犯罪組織・Cerberusが壊滅して早半年。幹部から末端、残党に至るまで全て逮捕し、ようやく束の間の安堵を得ることができた。
「乳がんのステージゼロです」
その言葉に、女性の目から涙が零れ落ちた。
本田凌(ほんだりょう)という名前で潜入捜査をしていた公安警察・九条桜士(くじょうおうし)は緊張を覚えながら待ち合わせ場所である駅前にいた。
(今日で二人きりで会うのは五十回目か……)
桜士の頭の中に今日、二人きりで出かける相手の顔が浮かぶ。ウェーブがかり毛先だけがピンクに染められた長い黒髪に、少しだけ垂れた目、程よく日焼けした肌に可愛らしい笑顔。四月一日一花(わたぬきいちか)の顔を浮かべただけで、桜士の胸は酷く締め付けられてしまう。桜士は一花に対し、「恋わずらい」という治らない病を抱えているのだ。
巨大犯罪組織・Cerberusが壊滅して早半年。幹部から末端、残党に至るまで全て逮捕し、ようやく束の間の安堵を得ることができた。