夜を照らす月影のように#5
それから僕、リオン、メル、カズの4人で本の世界に入る。

「寒……」

本の世界に入った途端、冷たい風が勢い良く吹いて僕らは体を震わせた。

今回入った本は、僕が執筆した「小さな雪の天使」という小説。

天使と重い病気を持つ少女の友情ものなんだけど、その物語は冬の季節がメインになっているからか、この世界の町は雪で真っ白になっている。

リオンが呪文を唱えると、体が温かくなった。冷たい風が吹いても、僕の体が震えなくなる。

「リオン、ありがとう」

僕がお礼を言うと、リオンは「どういたしまして」と微笑んだ。

「よし、行こう」

メルの言葉に、僕らは同時に頷くと歩き出す。歩いているとどこからか悲鳴が聞こえてきて、僕らは顔を見合わせると悲鳴がした方に走り出した。

「……っ!」

走っていると地面に誰かが倒れているのを見つけて、僕らは立ち止まる。誰かは、ゆっくりと顔を上げる。ふわふわとした、腰まで伸びた白髪に水色の瞳を持った、髪と同じ白い服を着た女の子。

「大丈夫ですか?」

メルは、女の子に向かって手を差し出した。戸惑った表情を見せた彼女は、少し考えるとメルの手を借りて立ち上がる。

「……その……助けていただき、ありがとうございます。私は、シャルロットと申します。16歳です」
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