1時、夜夜中が手招くから

聞きたくないって背中に書いてある。



私だって、この時間が終わってほしくない。時間が進まなくてもいいから、隣にいたい。



でも、だめなんだ。叶わないってわかってる。



言いたいことはひとつじゃなかった。



ちゃんと夜は寝てとか、朝ごはんは食べてとか、ヒマリがたった一人大切な人だって、言わないとわからないしょうがない人だから、でも時間が無い。



さよならって言わないから、せめて変わりに。



「あのね、私がなりたかったのはヒマリだよ」



「...言うなって」



「アイドルでもお花屋さんでもなくて、どれだけ素敵な誰かよりもヒマリに憧れてたの」



「ねえ、ハイロ」



「でもヒマリは世界で一人だけだからね、どうやってもなれないから。じゃあそのヒマリの隣にずっといられたらいいなって」



「ねえって!それ言い終わったら僕たち会えなくなるんだよ!」




「...いつかそう言って、好きって伝えたかったの」


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