恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました

「お前、さげまんってやつだろ」


　ぎょっとするようなことを囁かれ、咄嗟に言い返す言葉も見つからない。

　その代わりに一歩後退し、その姿を見上げる。

　そのうちに彼は嘲るように「ははっ」と声を上げ、私に振り返った。


「いや、さげまんもなにも、やらしてくれないからな、付き合ってこれだけ経ってるのに。なぁ？　里穂子」


　こんな公共の場で、しかも同じ空間に他人がいるのに、小声だとしてもなんて下品なことを口にするのだろう。

　あまりの衝撃で、瞬きを忘れたままじっと湯島くんの目を見つめる。

　やめて。もうそれ以上言わないで。そんな思いを込めて見つめる私を、彼はふんと鼻で笑った。


「どうせなら、俺の運気を上げてくれる女と付き合ったほうがよさそうだな。そうすれば、取引も失敗しない──」


　そんなときだった。