恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
急にエレベーターがガタンと大きく振動し、足もとがふらつくほどの衝撃を受ける。
何事かと思った次の瞬間にはエレベーターが停止し、照明が落ちていた。すぐに代わりと思われる非常灯がつく。
なに……? 止まった、の……?
しんと、エレベーター内に沈黙が落ちる。
今の今まで私に罵声を浴びせていた湯島くんも口を噤み、 キョロキョロとエレベーター内を見回していた。
「なんだ、いきなり。地震かなにかか?」
そう口にして、スーツのジャケットのポケットからスマートフォンを取り出す。情報を求めてか、画面に見入りはじめた。
すぐにエレベーター内の照明は復旧したものの、エレベーターが再び動き出す気配はまだない。
「……震度三? そんな程度で止まるなんて、誤作動もいいとこだな」
彼が得た情報では、東京で震度三ほどの地震があったようだ。
湯島くんは「ラグジュアリーなホテルのくせに、入れてる設備は三流か?」なんて厭味を口にしながら無駄に操作盤の〝非常〟のボタンを連打する。
すぐに反応がなく、あからさまにため息をついた。