恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「私、ここにずっと来てみたいなって思っていました。テレビでよく特集されていたけど、なかなか機会に恵まれなかったのでうれしいです」

「それはよかった。デートスポットとしても人気があるようだからな」


 彰人さん的には、話の流れでなんとなく言っただけなのだろう。

 デートスポットなどというフレーズを耳にして、湯島くんとのことを思い出す。ふと、これまでの交際を振り返っていた。

 付き合いはじめ、同棲したての頃はデートと言える時間もあった。

 だけど、映画を観に行ったり、ショッピングに出かけたりすることが基本だった。

 思い返してみれば、都内を出てどこか観光地に行くような、そんな本格的なデートは一度もない。


「余計なことを言ったな。今、前のことを思い出していただろ?」

「えっ、あ、はい……」

「もう思い出さなくていい。過去は忘れて、これから先のことだけ考えればいい」

「はい」

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