恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 こういう本格的なコース料理は、普段なかなか食べる機会がない。

 一番最近にいただいたのは、二年ほど前の友人の結婚式でだ。

 外側から使っていくのは間違いないけど、フォークだけじゃないよね? ナイフも一緒に使うんだよね ?

 ちらりと正面の彰人さんを見ると、慣れた様子でナイフとフォークで食事を始めている。

 やはり、こういう食事の形式は慣れっこなのだろう。

 むしろ飽きているのかもしれない。


「昨日した話だが、承諾してもらえたという解釈でいいということだな?」


 食事が始まってすぐ、どのタイミングで訊こうかと思っていたことを彰人さんのほうから切り出してくれる。


「承諾……はい。でも、私なんかで本当に……?」

「なんかとはなんだ。俺は里穂子がいいと思って頼んでいるのに」


 そんなふうに言われて言葉に詰まる。

 なぜ私なんだろうという疑問は募るばかりだし、彰人さんのそういう相手になりたい女性は数多く存在しているはず。

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