恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「そういうふうに言ってもらえることが、私にはよくわからなくて……。私みたいな、凡人ではなく、相応しい方が多くいるだろうから」


 素直にそのままを口にすると、彰人さんはクスッと笑う。


「君のそういうところが気に入ったんだ」

「え……?」

「控えめに見えて意外と芯が強いところ。新しい環境でも頑張っていこうとする健気な姿。それでいて、好かれようと自分を売り込むこともしない」

「そ、そんな、売り込むなんて……!」


 好かれるために、彰人さんに自分を売り込む?

 そんなこと、私には考えられない。

 こうして向き合って食事をすることすらいいのだろうかと困惑するような相手なのに、そんなこと……。

 でも、彰人さんと対等な階級にいる女性たちは、みんな美しくて、地位も名誉も持ち合わせていて自信があり、きっと〝私を見て!〟という女性ばかりなのだろう。

 私には到底考えられない世界だ。

 そんな女性たちばかり見てきたから、私のような一般庶民の平凡極まりない女性は物珍しいのかもしれない。

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