恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「一番初めは、あのエレベーターの中で……単純に、手を差し伸べたくなったんだ。君の横顔を見ていたら、そこから連れ出したいと、無意識に思っていた」
ナイフとフォークを動かしながら、彰人さんはそんなことを告白する。
私はつい手を止めたまま、食事をする彰人さんをじっと見つめる。
「だからあの翌日、あんな場所で再会したときはなんとしてでも君を手に入れたいと思った。迷わなかった。これは間違いなく運命だろうと確信したから」
淡々と語られる言葉に鼓動が高鳴りを増していく。
手に入れたいとか運命だとか、そんな言葉をかけられたら変に勘違いしそうになる。
契約結婚をして偽装の妻になったら、日々こんなふうにドキドキさせられてしまうのだろうか……。それは絶対に困る。
今のうちから、こういう彰人さんの発言に免疫を作って慣れておかないと、特別な好意を無自覚のうちに抱いてしまいそうだ。