恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「囲い込むようなことをして申し訳なかったと思っている。でも、言った言葉に嘘偽りはない。契約の結婚、偽りの関係だとしても決して後悔はさせない」


 彰人さんの目が真っすぐに私を見つめる。そのアーモンドアイをじっと見つめ返し「はい」とうなずいた。


「あの、でも、本当に私に務まるのかという疑問と心配だけがあって。具体的に、どう振る舞えばいいのかとか」


 偽装の妻、とはいえ、表向きは本物の妻に見えないといけない。

 そもそも、私が筧さんのとなりに立って妻に見えるかがまず問題な気もするけれど……。


「難しいことはなにもない。婚約をして、結婚をし、夫婦になったと思えばいいだけだ。実際、そうなるわけだからな。結婚願望はなかったのか」

「結婚願望、ですか……。まったくないということはないですけど、どちらかというと、結婚に縁がないと思っていたというか」


 湯島くんとお付き合いしていた頃は、同棲はしていたものの将来の話は一切出てこなかった。

 彼の気持ちが徐々に離れていっていたのだから、そんな話が出てくるはずもない。

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